キャットフードの「粗タンパク質30%以上」は30%という意味ではない
Amazonのアソシエイトとして、みけねこフードラボは適格販売により収入を得ています。記事内の商品リンクからの購入で当サイトに紹介料が入りますが、掲載内容は実際に購入・使用した上での評価です。
結論から
キャットフードの袋に並んでいる数字は保証分析値といって、メーカーが「この範囲は守ります」と約束した値です。実際に測ったらいくつだった、という値ではありません。
- 粗タンパク質 30%以上 → 30%を下回らないと約束している。実際は32%かもしれないし38%かもしれない
- 水分 10%以下 → 10%を超えないと約束している。実際は7%かもしれない
つまり「以上」が付いた項目は実際の値がそれより高い方向にずれ、「以下」が付いた項目は低い方向にずれます。この非対称を知らないまま商品どうしを比べると、差を過大にも過小にも読み間違えます。
なぜ実測値ではないのか
原材料は農産物・畜産物なので、ロットごとに成分がぶれます。同じレシピで作っても、今月のチキンと来月のチキンでタンパク質はわずかに違う。
そこでメーカーは「どのロットでも必ずこの線は超える」という値を保証として出します。余裕を持たせるほど保証を守りやすくなるので、実際の値は保証値より良い側に振れているのが普通です。
何が比較を難しくするか
1. 保証の取り方はメーカーごとに違う
余裕を大きく取るメーカーと、実測値に近い線を出すメーカーがあります。 A社の「30%以上」とB社の「30%以上」が同じ中身とは限りません。
同じメーカーの商品どうしなら、方針が揃っているぶん比較の信頼度は上がります。 ブランドをまたぐ比較ほど慎重に、と考えておくのが安全です。
2. 「以上」と「以下」が混ざっている
一つの表の中で、タンパク質・脂質は「以上」、水分・粗繊維・灰分は「以下」になっているのが一般的です。方向の違う数字が同じ表に並んでいるので、合計しても100%にはなりません。
3. 炭水化物は書かれていない
日本のペットフード表示で炭水化物の記載義務はありません。知りたい場合は引き算で推定します。
炭水化物(推定) = 100 − タンパク質 − 脂質 − 粗繊維 − 灰分 − 水分
ただしこれは保証値どうしの引き算なので、誤差が全部ここに集まります。目安以上のものとしては扱えません。このサイトでも炭水化物は計算値として、そうと分かるように表示しています。
公表されている項目はどれくらいあるか
このサイトで集めた260商品について、項目ごとに記載があった数を数えました。
| 項目 | 記載のあった商品数 | 割合 |
|---|---|---|
| 脂質 | 209 | 80.4% |
| 水分 | 209 | 80.4% |
| 粗繊維 | 208 | 80.0% |
| タンパク質 | 201 | 77.3% |
| 灰分 | 202 | 77.7% |
| 代謝エネルギー | 190 | 73.1% |
| リン | 78 | 30.0% |
| マグネシウム | 73 | 28.1% |
| ナトリウム | 47 | 18.1% |
上の6項目はおおむね8割前後で揃っています。ミネラル3項目だけが極端に少ない。この落差についてはリンの公表率の記事に分けて書きました。
9項目すべてが揃っている商品は260中37商品でした。全体の15%足らずです。
それでも比較する価値はある
ここまで限界ばかり書きましたが、保証分析値が役に立たないわけではありません。
- 同じ方向にずれるので、順位はおおむね保たれます。「以上」表示どうしなら、
35%以上の商品は30%以上の商品より実際に多い可能性が高い
- 極端な差は本物です。0.40%と0.93%の差が誤差で埋まることはありません
- メーカーが自分で出した公式の数字なので、出どころが明確です
小数点以下の僅差を競わせるのには向かず、大きな違いを見つけるのには十分使える、という道具だと思ってください。
まとめ
- 保証分析値は実測値ではなく、下限・上限の約束
- 「以上」の項目は実際もっと高く、「以下」の項目は実際もっと低いことが多い
- メーカーごとに余裕の取り方が違うので、ブランドをまたぐ僅差の比較は当てにならない
- 炭水化物は引き算の推定値。誤差が集まる場所
- 260商品中、9項目すべて公表しているのは37商品
成分比較のトップページでは、公表されていない項目は空欄のまま並べ替えの末尾に送るようにしています。推測値で埋めることはしていません。