療法食は本当にリンが低いのか、68商品の公表値を集めて確かめた
Amazonのアソシエイトとして、みけねこフードラボは適格販売により収入を得ています。記事内の商品リンクからの購入で当サイトに紹介料が入りますが、掲載内容は実際に購入・使用した上での評価です。
結論から
このサイトで集めた260商品のうち、リン含有量を公表していてドライフードのものが 68商品あります。種別ごとの中央値はこうなりました。
| 種別 | 商品数 | リンの中央値 | 幅 |
|---|---|---|---|
| 主食 | 37 | 0.80% | 0.17〜1.10% |
| 療法食 | 31 | 0.66% | 0.35〜1.43% |
療法食のほうが0.14ポイント低い。ここだけ見れば通説どおりです。
ですが幅の列を見てください。療法食は0.35〜1.43%と、4倍以上ばらついています。中央値どうしの差0.14ポイントより、療法食の内部のばらつきのほうがはるかに大きい。
用途ごとに割ると、その理由が出てきます。
用途で割ると、療法食は真っ二つに分かれる
同じ31商品を、商品名から用途を読み取って分けたものです。
| 用途 | 商品数 | リンの中央値 | 幅 |
|---|---|---|---|
| 腎臓用 | 3 | 0.40% | 0.35〜0.50% |
| その他の療法食 | 9 | 0.50% | 0.43〜0.76% |
| 消化器用 | 5 | 0.66% | 0.66〜0.75% |
| 体重管理用 | 3 | 0.77% | 0.60〜1.43% |
| 尿路用 | 10 | 0.93% | 0.84〜1.04% |
| (参考)主食 | 37 | 0.80% | 0.17〜1.10% |
腎臓用は0.40%。主食の0.80%の半分です。
一方尿路用は0.93%で、主食より高い。しかも幅が0.84〜1.04%と、 10商品すべてが主食の中央値を上回っています。
同じ「療法食」の中で、腎臓用と尿路用は2倍以上違う。 これが「療法食」というくくりで見ても意味が薄い理由です。低いのは腎臓用であって、療法食だからではありません。
実際、療法食31商品のうち11商品は主食の中央値0.80%を上回っています。 3分の1は「普通の主食より高い」側にいます。
なぜ尿路用のリンは高いのか
尿路用のフードが狙っているのは、リンを減らすことではありません。尿のpHを調整して特定の結石ができにくい状態にすることです。設計の目的が違うので、リンを下げる理由がそもそもない。
用途の違うフードを「療法食」の一語でまとめて比べたこと自体が、最初の間違いだったわけです。
「腎臓」と書いてあっても低いとは限らない
もうひとつ、主食の側にも同じことが起きています。
主食37商品の中に、商品名に「腎臓の健康ケア」と入っていてリンが0.90%の商品群があります(マルカン サンライズの AIM30 シリーズ)。腎臓用療法食の0.40%と比べると2倍以上、主食の中央値0.80%より高い水準です。
- AIM30 11歳以上の室内猫用 腎臓の健康ケア — 0.90%
- AIM30 15歳以上の室内猫用 腎臓の健康ケア — 0.90%
これは商品が不当だという話ではありません。AIM30 が掲げているのは AIM というタンパク質に着目した設計で、リンの制限を売りにしているわけではないからです。方向性が違うだけです。
問題は、買う側からは名前だけでその違いが分からないことです。「腎臓」の二文字が入っていても、リンが低いことは意味しません。数字を見るまで判断できない、というのがこの記事のいちばん実用的な結論です。
主食にも低リンのものはある
逆方向も同じです。主食の幅は0.17〜1.10%で、腎臓用療法食(0.35〜0.50%)より低い主食が実在します。
- ロイヤルカナン FCN ユリナリー ケア 成猫用 — 0.17%
- ニュートロ ナチュラルチョイス 室内猫用 チキン — 0.18%
- ニュートロ キャット ワイルドレシピ アダルト チキン — 0.18%
同じロイヤルカナンでも、ユリナリーS/O オルファクトリーは 0.93%です。ブランドでもシリーズ名でもなく、商品ごとに見るしかありません。
この数字の限界
正直に書いておきます。
- 腎臓用は3商品しかありません。 中央値0.40%を「腎臓用フード全体の代表値」と
読むには少なすぎます。傾向の手がかり程度に見てください。
- 母数が小さいので、商品を数件足すだけで中央値は動きます。 この記事も、
AIM30 の4商品を追加した時点で主食の中央値が0.70%から0.80%へ動きました。 小数点以下の僅差を競わせる用途には向きません。
- 数字はすべてメーカーの公表値(保証分析値)です。実測ではありません。
詳しくは保証分析値の読み方に書きました。
- 出典は楽天の商品説明文からの自動抽出です。店舗が転記した数字なので、
メーカーの公式資料と食い違う可能性があります。
まとめ
- ドライ68商品で、主食0.80%・療法食0.66%。差は0.14ポイント
- ただし療法食の内部は0.35〜1.43%と4倍以上ばらつく
- 腎臓用0.40%に対し、尿路用は0.93%。同じ療法食で2倍以上違う
- 主食側にも「腎臓の健康ケア」を名乗る0.90%の商品がある
- 主食にも0.17〜0.18%のものがある
- 商品名でも種別でもなく、リンの数字そのものを見るしかない
成分比較のトップページでリンの少ない順に並べ替えられます。用途のラベルではなく数字で見るのが、いちばん確実です。