ドライフード

療法食は本当にリンが低いのか、60商品の公表値を集めて確かめた

公開 2026年8月22日 / 最終更新 2026年10月8日

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結論から

このサイトで集めた281商品のうち、リン含有量を公表している主食と療法食のドライフードが60商品あります。種別ごとの中央値はこうなりました。

種別商品数リンの中央値幅
主食280.90%0.50〜1.10%
療法食300.66%0.35〜1.43%

療法食のほうが0.24ポイント低い。ここだけ見れば通説どおりです。

ですが幅の列を見てください。療法食は0.35〜1.43%と、4倍以上ばらついています。中央値どうしの差0.24ポイントより、療法食の内部のばらつきのほうがはるかに大きい。

用途ごとに割ると、その理由が出てきます。

用途で割ると、療法食は真っ二つに分かれる

同じ31商品を、商品名から用途を読み取って分けたものです。

用途商品数リンの中央値幅
腎臓用30.40%0.35〜0.50%
その他の療法食100.50%0.43〜0.76%
消化器用50.66%0.66〜0.75%
体重管理用30.77%0.60〜1.43%
尿路用100.93%0.84〜1.04%
(参考)主食280.90%0.50〜1.10%

腎臓用は0.40%。主食の0.90%の半分以下です。

一方尿路用は0.93%で、主食とほぼ同じか、わずかに高い。幅は0.84〜1.04%で、腎臓用とは重なりません。

同じ「療法食」の中で、腎臓用と尿路用は2倍以上違う。 これが「療法食」というくくりで見ても意味が薄い理由です。低いのは腎臓用であって、療法食だからではありません。

実際、療法食31商品のうち8商品は主食の中央値0.90%を上回っています。 4分の1は「普通の主食より高い」側にいます。

なぜ尿路用のリンは高いのか

尿路用のフードが狙っているのは、リンを減らすことではありません。尿のpHを調整して特定の結石ができにくい状態にすることです。設計の目的が違うので、リンを下げる理由がそもそもない。

用途の違うフードを「療法食」の一語でまとめて比べたこと自体が、最初の間違いだったわけです。

「腎臓」と書いてあっても低いとは限らない

もうひとつ、主食の側にも同じことが起きています。

主食28商品の中に、商品名に「腎臓の健康ケア」と入っていてリンが0.90%の商品群があります(マルカン サンライズの AIM30 シリーズ)。腎臓用療法食の0.40%と比べると2倍以上で、主食の中央値と同じ水準です。

これは商品が不当だという話ではありません。AIM30 が掲げているのは AIM というタンパク質に着目した設計で、リンの制限を売りにしているわけではないからです。方向性が違うだけです。

問題は、買う側からは名前だけでその違いが分からないことです。「腎臓」の二文字が入っていても、リンが低いことは意味しません。数字を見るまで判断できない、というのがこの記事のいちばん実用的な結論です。

主食で腎臓用並みに低いものは、ほぼ無い

逆方向も確かめました。主食の幅は0.50〜1.10%で、腎臓用療法食の範囲(0.35〜0.50%)に入るのは トムキャット ロッキーマウンテン インドアキャットの0.50%の 1商品だけでした。それも腎臓用の上限と同じ値です。

リンを公表している主食の中に、腎臓用療法食より明確に低いものはありませんでした。

同じロイヤルカナンでも、ユリナリーS/O オルファクトリーは 0.93%です。ブランドでもシリーズ名でもなく、商品ごとに見るしかありません。

訂正(2026-10-08) 以前の版では、この節で「主食にも0.17〜0.18%のものがある」としてニュートロの2商品とロイヤルカナン FCN ユリナリー ケアを挙げていました。ニュートロの数字は成分表の「タウリン 0.18%」を誤ってリンとして読み取っていたもので、ニュートロはリンを公表していませんでした。ロイヤルカナン FCN ユリナリー ケアは水分85%前後のウェットフードで、ドライと同じ物差しでは比べられません。読み取りの仕組みを直し、数字を集計し直しました。主食の中央値は0.80%から0.90%に変わっています。

この数字の限界

正直に書いておきます。

読むには少なすぎます。傾向の手がかり程度に見てください。

上の訂正でも、誤った数字を除いただけで主食の中央値が0.80%から0.90%へ動きました。 小数点以下の僅差を競わせる用途には向きません。

詳しくは保証分析値の読み方に書きました。

メーカーの公式資料と食い違う可能性があります。

まとめ

成分比較のトップページでリンの少ない順に並べ替えられます。用途のラベルではなく数字で見るのが、いちばん確実です。


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