ドライフード

キャットフードの炭水化物は袋に書かれていない。引き算で出したら主食の中央値は31%だった

公開 2026年9月3日

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結論から

キャットフードの袋を裏返しても、炭水化物が何%かは書かれていません。保証分析値に欄がないからです。

ただし計算はできます。100から他の5項目を引けばいい。 281商品で計算したところ、計算できたのは210商品で、そのうちドライの主食104商品の中央値は31.40%でした。

種別ごとに並べるとこうなります。

種別商品数炭水化物の中央値いちばん低いいちばん高い
主食(ドライ)10431.40%16.00%50.50%
療法食(ドライ)5737.00%22.30%45.40%
ウェット343.50%0.00%38.50%

ウェットだけ極端に低く見えますが、これは水分が8割以上あるせいで、中身が少ないという意味ではありません。後半で書き直します。

なぜ書かれていないのか

ペットフードの袋に載っている「保証分析値」は、慣行として次の5項目です。

炭水化物はここに含まれません。書くことが義務づけられているわけでもなく、 5項目のように慣行として定着してもいないので、探しても載っていないのが普通です。表示のどこまでが義務なのかはリンの公表率の記事にまとめました。

書かれていない理由は、わざわざ測っていないからでもあります。タンパク質は窒素の量から、脂質は溶媒で抽出して、灰分は燃やした残りから、というふうに、5項目にはそれぞれ実際の測定法があります。炭水化物にはそれがありません。

引き算で出す

そこで使われるのが、この式です。

炭水化物 = 100 − タンパク質 − 脂質 − 粗繊維 − 灰分 − 水分

栄養学では可溶無窒素物(NFE)と呼ばれます。「測っていない残り全部」を炭水化物とみなす、という考え方です。ペットフードの栄養計算では通例の方法で、勝手な推測ではありません。

このサイトの成分比較表でも、炭水化物の列はこの式で出しています。 実測値ではないので、色を変えて計算値と分かるようにしてあります。

ただし引き算なので、5項目すべてが公表されていないと計算できません。 1つでも欠けると出せない。281商品のうち計算できたのは 210商品、74.7%でした。逆に言えば4商品に1商品は、炭水化物がどのくらいなのか見当もつきません。

ドライの主食は3割前後だった

ドライの主食104商品の中央値は31.40%。幅は16.00%から50.50%までありました。

同じ商品群の他の項目の中央値も並べておきます。

項目中央値
タンパク質32.00%
脂質14.00%
粗繊維4.10%
灰分8.90%
水分10.00%
炭水化物(計算値)31.40%

タンパク質より炭水化物のほうが少ない、という並びではありません。 ドライフードのいちばん多い成分は、たいていの商品で炭水化物です。

理由はいくつもあります。粒の形を保つのにデンプンが要る、エネルギー源として安価、原材料の穀物やイモ類にもともと含まれている。どれも製造上の必然で、それ自体を悪いこととは書きません。ただ「肉が主原料」と書かれた袋の中身が、重量では3割前後デンプンだ、というのは知っておいていい数字だと思います。

なお、いちばん低かった商品は16.00%でした。原材料がほぼ肉だけのフリーズドライ製品です。選択肢が無いわけではありません。ただしこれは「引き算した残りがちょうどゼロになった」ということでもあって、後述する誤差の話がそのまま当てはまります。ゼロだと確かめられたわけではありません。

療法食のほうが多い

意外だったのはここです。

種別商品数炭水化物の中央値
主食(ドライ)10431.40%
療法食(ドライ)5737.00%

療法食のほうが高く出ました。

まず疑うべきは水分です。療法食の水分の中央値は6.50%、主食は10.00%で、療法食のほうが乾いています。水分が少なければ、そのぶん他の項目の数字は自動的に大きくなります。差の一部はこれで説明がつきます。

そこで水分を除いた乾物あたりに直して比べ直しました。

種別乾物あたりの炭水化物(中央値)
主食(ドライ)34.01%
療法食(ドライ)40.21%

水分の影響を取り除いても、差は残りました。

説明としては素直だと思います。療法食はタンパク質やリンを抑える設計のものが多く、実際このサイトのデータでもタンパク質の中央値は主食32.00%に対して療法食29.50%、リンは主食0.90%に対して療法食0.66%です。一方でカロリーは落とせません。375kcal/100gに対して療法食は381kcal/100gで、むしろ高いくらいです。

減らしたぶんのエネルギーはどこかで埋める必要があり、その受け皿が炭水化物になっている、という読み方ができます。

これは療法食が劣っているという話ではまったくありません。リンやタンパク質を抑えることに目的があるのなら、炭水化物が増えるのは設計上の帰結です。

ウェットは水分を抜いてから見る

先頭の表でウェットの中央値が3.50%と出ていました。「ウェットは炭水化物がほぼゼロ」と読みたくなりますが、これは違います。

ウェットの水分の中央値は83.90%です。中身は1割か2割しかないのだから、何を測っても小さい数字になります。

水分を除いて乾物あたりに直すと、こうなりました。

見方中央値いちばん高い
製品あたり(袋の表示のまま)3.50%38.50%
乾物あたり(水分を除く)23.52%59.23%

3.50%が23.52%になります。ドライと同じ土俵に乗せると、けっして無視できる量ではありません。

水分量の違う商品をそのまま比べてはいけない、という話は 乾物換算で並べ直した記事と ウェットフードの数字の見方にも書きました。炭水化物は引き算で出す都合上、この落とし穴がいっそう深くなります。

この数字をどこまで信じるか

引き算で出した値には、はっきりした弱点があります。

保証分析値は「以上」「以下」で書かれた保証の値であって、実測値ではありません。 タンパク質30%以上と書かれた商品の中身は32%かもしれない。その誤差は5項目ぶん全部、引き算の結果に押し込まれます。

実際、281商品のうち数件は引き算の結果が負になり、このサイトでは数値として出さないことにしました。 5項目の合計が100を超えてしまう、つまり保証値の幅の広さがそのまま矛盾として出た商品です。

なので、こう使うのが安全だと思っています。

誤差では埋まりません

「たぶん平均くらい」と埋めないこと

このサイトが計算値に色を付けて実測値と分けているのは、この線引きのためです。

猫にとって炭水化物が何%ならいいのか

この記事では書きません。

猫は肉食動物なので炭水化物の消化は得意ではない、という一般論はよく見ます。ただ「だから何%以下にすべき」という基準は、年齢・体格・活動量・持病によって変わるもので、 281商品の公表値を集めただけのこの記事に決められることではありません。

体重や血糖の管理が必要な猫であれば、なおさらかかりつけの獣医師の指示が先です。このサイトができるのは、「その判断をするための数字が、そもそも袋に書かれていない」という現状を数えて見せるところまでです。

まとめ

成分比較のトップページでは、炭水化物が少ない順に並べ替えられます。計算できた商品だけが上位に並ぶので、そのまま候補リストとして使えます。数字がどこから来ているかは保証分析値の読み方に書きました。


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