ドライフード

腎臓用の療法食は高カロリー、「腎臓ケア」の一般食は低カロリー。同じ「腎臓」で設計が逆だった

公開 2026年10月8日

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結論から

名前に「腎臓」と入ったドライフードは、大きく2種類に分かれます。

この2つを、主食(子猫用と腎臓ケアの商品を除いた一般のドライフード)と並べて比べました。

カロリー脂質タンパク質(乾物あたり)
腎臓用の療法食370〜411kcal(主食より高め)12〜20%(主食より多め)22〜31%(主食より低い)
腎臓ケアの一般食295〜315kcal(主食より低い)8〜10%(主食より少ない)32〜34%
(参考)主食の中央値375kcal13%36%

同じ「腎臓」でも、カロリーと脂質は正反対の向きに設計されていました。 療法食はカロリーを高めに、一般食は低めに振っています。

いちばん実用上大事なのは、この2つの間でフードを替えると、同じグラム数でもカロリーが3割以上変わることです。

調べ方

このサイトが価格を追っている商品のうち、水分20%以下のドライフードで、商品名に「腎臓」「腎」「k/d」などを含むものを集めました。楽天のジャンルが「療法食」のものを療法食、「キャットフード」のものを一般食としています。

ただし VetSolution の腎臓サポートは、ジャンルは一般食でも商品名に「療養食」とあるため、療法食の側に入れました。

同じ商品が店ごとに別の名前で出品されているので、同じ商品は1つとして数えています。 数字はすべてメーカーの公表値(店舗が転記したもの)で、実測ではありません。

リンについては療法食のリンを検証した記事で詳しく扱ったので、この記事ではリン以外の数字を見ます。

腎臓用の療法食

ロイヤルカナンの腎臓サポート セレクションは、出品によって数字が食い違っていたので 2行とも載せています(どちらが現行品の値かは、公表値からは判断できませんでした)。以下の集計では、どちらの値を採っても結論が変わらない言い方にしています。

タンパク質は7商品すべてが主食より低い

乾物あたりのタンパク質は22.5〜31.3%。7商品すべてが、主食の中央値36%を下回りました。 腎臓用の療法食がタンパク質を抑えていることは、数字にはっきり出ています。

水分の違う商品どうしを比べるので、乾物あたりに直しています。理由は 乾物換算の記事に書きました。

カロリーは6商品中5商品が主食より高い

カロリーを公表している6商品のうち、5商品が主食の中央値375kcalを上回りました。ヒルズ k/d とハッピーキャットは400kcalを超えています。下回ったのはベッツセレクションの 370kcalだけで、これも主食とほぼ同じ水準です。

脂質も多め

脂質は12〜20%。7商品中6商品が主食の中央値13%を上回っています。 カロリーの正体は脂質だったという記事で書いたとおり、脂質はカロリーを上げるいちばん効く成分なので、高カロリーと高脂質は同じことの表と裏です。

タンパク質を減らし、そのぶんを脂質で埋めてカロリーを確保する。 腎臓用の療法食は、公表値の上ではそういう形をしています。

「腎臓の健康ケア」をうたう一般食

こちらはカロリー295〜315kcal、脂質8〜10%。主食より低く、療法食とは 100kcal前後の差があります。タンパク質は乾物あたり32〜34%で、主食よりやや低い程度です。療法食ほどは下げていません。

この4商品は、名前のとおり11歳以上の室内猫向けです。運動量の落ちた高齢猫の体重を考えた設計と読むのが自然でしょう。 室内猫用のカロリーを調べた記事でも、室内猫用の中でこの4商品だけが際立って低い値でした。

なお AIM30 が掲げているのは AIM というタンパク質に着目した設計で、リンやタンパク質の制限を売りにしているわけではありません。療法食と目指すものが違う商品です。どちらが優れているという話ではありません。

名前が同じでも、なぜ逆向きになるのか

療法食は、獣医師が診断したうえで与えることを前提にしたフードです。一般食は、健康な猫が毎日食べることを前提にしています。前提が違えば、同じ「腎臓」を掲げていても設計が違って当然です。

腎臓用の療法食がカロリーを高めにしている理由について、メーカーの意図は公表値からは分かりません。ただ、数字の上では「少ない量でもカロリーが取れる」形をしている、ということは言えます。

逆に一般食の側は、「食べすぎても太りにくい」形をしています。この違いを知らずに名前だけで選ぶと、意図と逆のものを選ぶことになりかねません。

この結果をどう使うか

一般食から療法食に替えるときは量を見直す

たとえば AIM30 の11歳以上用(300kcal)から、ヒルズ k/d(409kcal)に替えるとします。

409 ÷ 300 = 1.36

同じグラム数を与えると、カロリーが36%増えます。 同じカロリーに合わせるなら、グラム数は今の約73%です。

新しいフードの量 = 今の量 × 300 ÷ 409 ≒ 今の量 × 0.73

逆方向(療法食から一般食へ)なら、同じ量では摂取カロリーが大きく減ります。どちらの場合も、量の決め方はカロリーと給与量の記事にまとめました。

ただし療法食に切り替えるときの量は、体重の目標も含めて獣医師から指示があるはずです。その指示を優先してください。

療法食を自己判断で始めない

腎臓用の療法食はタンパク質を抑えた設計です。腎臓に問題のない猫にとって、それが合っているかどうかは別の話です。「腎臓が心配だから先回りして療法食に」という使い方は、この記事ではおすすめしません。

年齢が気になってきたら、まず動物病院で血液検査などを受けて、その結果をもとに獣医師と相談するのが順序です。このサイトが扱えるのは、公表値の比較までです。

一般食を選ぶなら、名前ではなく数字で選ぶ

一般食の中で選ぶときも、「腎臓」の二文字だけで決めないでください。リンの数字は療法食のリンの記事で書いたとおり、「腎臓の健康ケア」をうたう一般食でも、主食と変わらない水準のことがあります。カロリー・タンパク質・リンを、それぞれ数字で確かめるのが確実です。

この数字の限界

腎臓ケアの一般食は4商品(すべて同じシリーズ)です。とくに一般食側は AIM30 しかないので、「腎臓ケアの一般食はみな低カロリー」とまでは言えません

ロイヤルカナンの例のように、出品によって数字が食い違うことがあります

効果を判断できるのは、その猫を診ている獣医師だけです

まとめ

成分比較のトップページでは、カロリーやタンパク質の順に並べ替えて、ここに挙げた商品を見比べられます。


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